ブルスカです

ハーレーダビッドソン公式の祭典『BLUE SKY HEAVEN(ブルースカイヘブン)2023』のキービジュアルを描かせていただきました。

ミュージック、キャンプ、モーターサイクルが融合した日本最大級のモーターサイクルイベントということで、僕なりに全て盛り込みました。

おそらく、”白黒”ファンの皆様はニヤリとしたのではないでしょうか。
きっとここに描かれたギターに見覚えがあるはずです。

このエンジンが融合したギターが最初に描いたのは2013年。当時は「フライング」という作品名でたくさんの人がこのTシャツを買ってくれました。(画像4枚目)

その後、2020年に「electric」というタイトルでセルフカバー的に復刻。(画像5枚目)こちらは記憶に新しいのではないでしょうか。同様にこちらも現役で大人気のコレクション

そして、今回のBLUE SKY HEAVENのキービジュアルの象徴的アイテムとして、全てイチから描き直して再登場。

最新エンジンのMilwaukee-Eightを纏い、ラスボス感出てます。笑
公式なので各所にロゴを入れることができました。

初期作品から10年の歳月を経て、いちばん似つかわしい場所でリリースできたこと、非常に嬉しく思います。

このビジュアルが使われる『BLUE SKY HEAVEN2023』のポスター、ノボリ、その他、グッズ等がどうなるのか、今から楽しみですね。

それではみなさま、この夏は”ブルスカ”で会いましょう。

巡る日本の道12選

みなさまと共に歩んだ旅もラストとなりました。

今回、道ではなくスポットとしたのは、旅の終着点という意味合いがあります。

いつもより、モーターサイクルも大きめに描き、また、夕景に輝く太陽は箔押しにて表現しています。

ぜひお楽しみください。

モーターサイクルアート、そしてシルクスクリーン版画のすばらしさを、たくさんの人々に見てほしいという想いから始めたこのプロジェクトでしたが、毎月、届いた方からメッセージや励ましのお言葉をいただいたり、時には、ギャラリーやメーカーさんから問い合わせをいただくなど、取り組んだ意義は大いにあったといえます。

来年も…という気持ちもありますが、実はこれがなかなか大変で、デザイン製作はもちろん、ひとつの絵に4〜5版を使い、グラデや調色を駆使し、更には高級手漉き和紙を使うなど、”白黒”のTシャツ以上に手のかかる内容で、あの価格で続けるには、とてもとても、採算のとれない活動でもありました。

なので、このシリーズにいち早く目をつけられ、手に入れられた方はラッキーだったと思います。笑

今後においては、カレンダーではなくアートポスターとして、もう少し時間をかけ、大型のものを製作していきたいと考えています。

また、お目にかかることがございましたら、どうぞよろしくお願いします。

2022年、全12作品これにて完結です。

本当にありがとうございました。

アーティストの本性

今にはじまったことではなく、物心ついた時からものいじりが好きだった。

好きというより、もはや病的な勢いで、いじり倒していた。

子どもの頃は”いじり”が過ぎて、ほとんどのモノがバラバラになったまま、もとに戻ることはなかった。

いわゆる壊し屋。

それが最近になって、ようやく壊れないようになった。

これは、元は、とあるメーカーのアルミ鋳造のテールランプ。

beforeを撮り忘れてしまったけど、もはや原型のデザインは全くとどめていない。

バラバラに分解した後に、思うまま、感じるままに、余計な装飾を削り落とし、貼り付け、磨きあげた。

気づいたら夜になっていて、飲まず食わずの一日。

作るだけ作って、完成したら、もう飽きてしまう。

同じものを、また作る気には到底ならない。

残るのは、世にないものを創り出したという満足感だけ。

日光の杉並木

鬼怒川を抜け、日光に差し掛かる頃には、街の匂いがしてきて幻滅する。

陽はすっかり暮れていたけど、インターに入る気にはならず、そのまま下道をひた走る。

この街道の入り口は少しわかりにくい。
でも、帰省のたびに走っているからわかる。

スタンドが目印だ。
そこから路地に入って、右に左に角を曲がり、程なく並木道に入る。

樹齢400年クラスの太く高い杉の木が、道に沿って連なっている。幅員が狭いくせに、木が高いから、やけに遠近感を感じる。

雲が切れ、大きな月が、ぽっかりと闇を切り抜いていた。
道も幹も青白く照らされ始める。

腐海の底みたいだなといつも思う。
僕にはそういう風に見えている。
走ってる時に何を想像しようがその人の勝手だ。

ここを抜けたら旅は終わり。
その先は単なる移動と言っていい。

対向車線の彼方に車のライトがぽつんと見えた。

猫バスかもしれない。

10月カレンダーは日光杉並木街道。
秋の夜長をお楽しみください。

染色×シルクスクリーンが美しすぎた

染色とシルクスクリーンふたつの技法を組み合わせたコレクションです。

生地の水分量、染色の時間や深さ、洗い上げるタイミングを調整しながらボディ自体を染めたあとに、シルクスクリーンプリントでゴーグル部分を刷り上げました。

ゴーグルにも染料のカラーに近づけたインクを調色、グラデーションプリントを施し、”染め”と”刷り”の両方でグラデーション技法を使った稀有なコレクションとなります。

決して大量生産品では実現できない一点物、あなただけのMOTO-ARTをお楽しみください。

感動とかそういうんじゃない

一度だけ、風景に涙を流したことがある。

20代の夏。

北の大地。

夕暮れ時。

オレンジに染まる海や空や山々。

筆舌に尽くしがたい見事な夕景ではあったけど、北の地を走っていればよくある風景で、その時は、宿のチェックインが迫っていて、少し急いでいた。

ふと、遠くから名前を呼ばれた気がして、アクセルを緩めた。

風切り音だったかもしれないけど、なんだか母親の声に似ていたように思えて、エンジンを切り、耳を傾けた。

一台のトラックが過ぎ去り、やがて何も聞こえなくなった。

風の音も、鳥の声も、なにも聞こえない。
静寂というより、無音。

自分のブーツが地面に擦れる音だけが聞こえていた。

海を見ると、太陽がちょうど沈む間際で、最後の光がどんどん小さくなって、点になって、水平線に消えるところだった。

その瞬間に涙が溢れた。
感動とかいった類のものではない。

今でも説明がつかないし、あの時以来それはない。

来月はそんな記憶の風景。

夏です。

センスって

センスはどうやったら身につくの?と聞かれる事が多いのだけど、僕にも分からないし、そもそも自分自身にセンスがあるとも思ってない。

好きなことを好きなようにやってるだけだし。

ただ、かっこいいな、美しいなと感じた時に、なんでそう感じたのか、何をどうするとそうなるのかを考える癖は昔からあったと思う。

美しいものは真似したいもの。

美しいと思う感覚こそがセンスとか言われるとどうしようもないけど、その感覚が全くない人なんているんだろうか。

みな、何かしらの美的感覚があるはずで、それをうまく自己表現できた時に”センスがある”となるのかなあ。

いや、たまに、とんでもない表現になってしまってる人もいて、度を超えると、奇抜な、とか、個性的とか言われるようになる。

というわけで、広辞苑を引いてみる。

センスとは物事の微妙な違いや味わいを感じとる力。物事を分別する力。良識。正常な感覚。

つまり、一般の人々に受け入れられやすい形で、自己表現ができる人のことをセンスがあるということかな?

うーん。

そんなセンス欲しいですか?