
“なりたい”から”なる”に至る間の、”なりかけ”という状態が一番キツくて、泥臭くて、美しい。
それまで勢いでできたことが、うまくいかなくなるし、妥協もしなくちゃいけなくなる。
あれほど立ちたかったステージが、この世で一番嫌いな場所になりさえする。周りにすげぇだのかっけーだの失敗するだの言われてるうちはまだまだ全然入口で、いざ歩き始めると、もう誰の声も光も届かない。
長い長いトンネルみたいなところをひとりぼっちで歩かなくちゃいけなくなる。誰も先導できないし、連れていくこともできない。
つらいだろう、こわいだろう、でも、それこそがホントの道である証拠だ。
闇の中で、はじめて自分と対峙して、自分がいかに些末で矮小で卑しい存在であるかを知る。
でも、そんな自分でも存在していることは確かで、そのトンネルの中では唯一の相棒だ。友達や恋人、親兄弟を信じなくてもいい、信じる必要もない。いずれにせよ他人だ。
ただ自分で自分を信じられなくなったら終わりだ。誰がなんと言おうと、それだけは諦めちゃいけない。もし、諦めたら、そのトンネルにはもう二度と入ることはできない。だから楽しみ、美しいと思い、前に進むことだけを考える。
戻ってもそこにはもう誰もいない。そんな長い長い闇の先に”なる”がある。
そんなトンネルがこの先何本もあるんだと思う。