焚き火は宇宙

どんなに悩ましいことがあっても、宇宙を想像すると、一瞬でどうでもよくなる…と、ずっと前に言ったことがある。

今いる地点から、少しずつ上昇していき、自宅の屋根が見えて、街が見えて、山や川が見えて、雲を突き抜け、やがて地球がゆっくりと回転しているのを想像する。

余裕があれば、太陽系、さらには銀河系…とイメージしてから、一気に自分が元いた場所に戻ってみる。

不思議とさっきまで悩んでいたことがくだらないことに感じられる。

この現象に気がついたのは中学くらいだったと記憶しているけど、それから、すっかりこの癖がついてしまった。

話が変わって、焚き火にも同じような効果があることに最近気づいた。

夜に、パチパチと小さな火の粉を散らしながら、炭化した薪がぼんやり燃えているのをずっと眺めていると、吸い込まれそうになる。

もうひとつの宇宙がそこにあった。

空を見上げればやっぱり大宇宙で、もう戻ってはこれない。