新たな出会い

個展も佳境に入ったところでレセプションパーティが開催されました。これ、もともとは56designさん側の提案で、中野さんがパーティの進行役を務め、ノンアルコールシャンパンで乾杯するという贅沢なもの。今まで、いろんなイベントをやってきたけど、おしゃれすぎましたw

乾杯の後はドローイング作品の完成披露(とっくに完成してましたが)や、中野さんとのトークショーで盛り上がりました。中野さんの現役時代のお話や、2STマシンに関する私見は面白かったな。色々聞いてしまって、どっちがゲストなのか分からなくなったよね。

ところで、同時に開催していた特別展「Wheels and Wavesポスター展」に鎮座していたこちらのヘルメットにお気づきでしたでしょうか。これ、実はこの日だけの展示で、来月フランスで開催されるWheels and Waves用に、ヘルメットメーカーのSHOEIさんとペインターのHIGH JUMPERさんにお願いしていたもの。ちょうど前日にペイントが仕上がったのですが、まだ中身やパーツがついてない状態のものを、急遽展示させていただきました。帽体だけの状態を公開するのってメーカーさんは嫌がるんですよね。そもそも帽体だけの状態で出せるなんてことも知られたくないはずですし(ペインターさんにとってその方が楽なんですが…)。本来はNGななんですが、今回、条件付きで許可をしていただいたものです。

ぱっと見ただけで、なにやら普通じゃないのは分かっていただけるかなと。この北斎的な波や飛沫は全部手書きで描かれています。そして、画像では分からないと思うのですが、下半分が木目のような凹凸がついた立体造形が施されておりまして、さらにその上から本物の金箔を押しいるという、とんでも…なヘルメットでした。こちらはいずれきちんと紹介したいと思いますが、じっくり見てた人はお目が高いなと。笑

で、話戻って、みんなで記念撮影なんかしちゃってパーティは無事終了しました。集合写真なんて、最近はほんとやらなくなったので新鮮な気分でした。これピースサインじゃないの、2STの2!

レセプション後(前もやってたけど)は、この日の記念Tシャツのライブプリンティング。天気がよかったので外のテラスでやらせていただいたのだけど、これがほんとに気持ちよくて、いい景色だったな。

DJブースに見えるけど、シルクスクリーンブースですw

先週、同じ千葉で開催されたDUCATI DAYのTシャツを着た方もいらっしゃって嬉しかった!

みなさん前に刷ったり、逆さまにしたりと、個性溢れる一枚を作っていかれました。きちんとシリアルナンバーも刻印したので、正真正銘、世界で一枚のTシャツです。

少しですが、この日は、僕の作品集も販売。初版分はもうほとんど残ってないのですが、実は代官山蔦屋さんから販売したいと連絡をもらっているので、そのうち、第二版を作ります。中身を少し変えたり、エッセイ的なものも入れたいなと。トークショーでサプライズ公約していただいた通り、帯は中野さんに書いてもらうぞ (笑)

結局日が暮れるまで、刷ってました。途中、にわか雨もあったのですが、タープも用意されていたので、なんの問題もなく進行できました。

隣の釜焼きピザのお店Fiorettoさんの壁にも描かせていただいたり… 結局、誰よりも大きなサインになってしまって、悪目立ちしてないといいのですが(笑)

たくさんの来場者さんで賑わった週末となりました。ありがとう。

ちなみに、この日のことは、WEBマガジンのMoto Meganeさんでも取材していただいています。よかったらこちらもチェックしてね。

バイクイベント“THE 2ST TAKE”に行ってみた

で、今回、思ったことがあります。

今までのファンや仲間と、この個展を通して繋がった方が、同じくらいいたことが一番の驚きでした。ライブプリントはこれまでいろんなところでやってきたけれど、ここまでたくさんの新たな出会いはなかったように思う。たぶんこれは、イラスト展という、今までと違うことをやったこと、開催場所が56designさんであったこと、また、Wheels and Wavesに協力をしてもらったことなど、とにかく新たな事案が散りばめられていたことが理由なのかな。

慣れ親しんだ場所を離れ、新たな場所に立つって、リスクや不安も多いのだけど、それ以上に得るものがある。いや、そんなことは頭では分かってたんだけど、経験は自信につながるんだよね。自信が生まれると心が開く。そうすると奇跡なんかも起こる。奇跡って人が持ってくるから、明るい人、活発な人のところにやってくるんだろうね。

年齢を重ね、経験を積むごとに新たな出会いを遠ざけていた自分に気付かされたりもしました。。。

個展は5/11(日)で終了。ラストまで走り抜けたいと思います!

3つでひとつ

今回の個展でのメインとなっている3つの作品についての解説です。

真ん中のライブドローイング作品が目立つので、その両隣の子達が脇役っぽくなってしまっていますが、実はこの作品は3つでひとつのストーリーになっています。

見てわかる通りこの絵は「歌う前」・「歌ってる最中」・「歌い終わったあと」の3つで構成されています。それぞれに込めたテーマは「生」・「動」・「死」で、レース用エンジンの儚くも美しい一生を描いた作品になります。

レース用エンジン?と思うかもしれませんね。これは私が子供の頃、レース用のエンジンは一回使い切りと聞いた時に、なんだかとても悲しい(かわいそう?)気持ちになったことが由来です。今はどうかはわかりませんが、これはレースという戦いのためだけに生まれてきたエンジンの物語でもあります。

生:覚悟が決まる瞬間の緊張感を表現。アイドリング中のエンジンや空ぶかしの雰囲気を白い息に込めました。

動:歌い始めるや否や、エンジンやマフラーが飛び出し、この子が人間ではないことがわかります。その振動やエキゾーストはマイクや空間を歪めていきます。エンジンのモデルとしてHONDAのワークスマシンであるNSR500のエンジン(NV0A)をモチーフにしました。本来はV型4気筒エンジンですが、この絵ではこれを2連にして8気筒にしています。

死:それを「死」とすると語弊があるのかもしれませんが、やはり私にとってはそれがテーマになっています。彼女の音圧でマイクはひしゃげ、壊れ、そして着ていた服もボロボロです。太ももに流れる液体はエンジンオイルですが、血液にも見えるようにしてます。当初は、顔も描いていたのですが、あまりに悲しい感じの絵になってしまったため、エンジンパーツに変えました。

私が表現したかったのは、決して悲しい物語ではなく、与えられた役(運命)を全力で全うし、満足して散っていく姿、美しい生き方・死に方を描きたかった。エンジンに例えていますが、これはもちろん私たち人間の生き方に重ねています。才能や運も含めてその人にしかできないことを「役目」だとするならば、その役を全うすることが、最も幸せで美しい生き方ではないかなと思います。まあ、その役を見つけるまでが大変なのですが。

ボツにした3つ目のイラスト(頭部)をここに置いておきます。死に際の微笑み。やっぱりこっちにしておけばよかったかも?笑

初のイラスト展

と言いつつ、開催から1ヶ月以上経過した時点でこれを書いています(汗)

今回、初めての企としてライブドローイングをやってみました。幅2.5メートル、高さ1.7メートルのキャンバスに、マッキー1本で描きあげたのですが、やってみたら、これがなかなか大変でした。

まず、マッキーはベタ塗りには向いてないということ。線画はともかく塗りつぶしがとっても大変。今回の絵が、というより、私のスタイル的にベタが多いので、勉強になりました。

時間的には1日6時間くらい描いて3日間。毎週末、横浜東金間を行き来して描きました。ほぼ高速なので時間的には片道1時間半くらいなのですが、よく考えたら片道100kmあるわけで、毎週末ツーリング気分です。体力の衰えを感じましたw

ドローイング自体はすごく楽しかった。私は作業中、話しかけられても全然苦にならないタイプなので、むしろ、話しかけてもらった方が精神的に楽なんですが、いろんなお客さんが、入れ替わり立ち替わりやってきて、世間話や人生相談をして帰っていきました。結構深い話にもなって、なんだろうね、これ。たとえば私が、ただ立ってるだけではそうはならない。ライブドローイングって焚き火みたいな効果があるのかもしれません。ぼうっと見続けられるというかなんというか。SNSにあげる時はダイジェストだからあっという間に描いてるイメージですが、実際はほんとうにゆっくり進行してます。見ながら寝てる人もいましたね。

完成。ちょっと離れたところから見てもいいかも。

ひとまず、この個展の一番の峠は超えることができましたが、実は期間中やりたいことがまだまだ、いっぱいありますので、一度来られた方でも、また楽しめるような内容にしていきたいと思います。まずは、ご来場くださった方々、また、ドネーション(投げ銭)や作品購入してくれた皆様、本当にありがとうございました。まだまだ続きます。